みんなのプロジェクトマネジメント

メンバーが、リーダーが、マネージャーが、プロジェクトマネジメントを使いこなす。

スケジュール短縮技法

いつまでに完成させる、システムを稼働させる、
スケジュールが最優先となるプロジェクトは多いかと思います。
計画したスケジュールに対し、遅れが発生した場合、PMは対応策をとらなくてはいけません。
PMBOKでは、対応策として「クラッシング」「ファストトラッキングの2つが紹介されています。
いずれも、見たことあるものと思いますが、メリット・デメリットがあるので、ここに着目してみてください。
現在の状況から、どれが最善策なのかを判断し、対策を打つこととなります。


○クラッシング
要員の追加を行い、作業を行ってもらう方法です。
プロジェクト内で空いている人を当てるのでえあればよいが、外部から調達する場合は、コスト増となります。
作業を分担してできる場合に効果があります。例えば、打ち合わせが遅れているのに、要員を追加しても、遅れは回復できません。
テストやプログラム製造など、手分けして作業ができる場合のみ、効果があります。
追加要員の作業環境(テスト端末など)にも注意する必要があります。人は来たけど端末がない、では意味がありません。

要員の追加の際は、一時的に生産性が落ちることを考慮することが必要です。
追加された人が作業に慣れるまでは時間がかかるし、質問とかで既存の作業者の生産性が落ちることもあります。
1人分の作業を実施できるようになるため、「立ち上げ工数」が必要であることを認識しましょう。
これを見越して、実際の遅れ日数より、多めに投入する必要があります。10人日の遅れであれば、12人日とか、少し多めに投入しないと、遅れを取り返すことができません。


○ファスト・トラッキング
順番に行う予定であった作業を、先行して着手することです。
作業の入れ替えだけであるため、コスト増はありませんが、不確定な状態で先に進んでしまうため、手戻りによるコスト増や、品質低下などのリスクが発生します。
元々、意味があって順番で行う予定になっていたはずです。設計が全部終わってから、製造を開始するなど。これを崩すということは、やはりリスクを抱えることになるのです。
コスト増がありませんので、クラッシングより、こちらを適用することを、先に検討すべきです。

具体的に…
Aフェーズ完了後、Bフェーズに入る予定であった場合
Aフェーズの残り2機能が、ユーザ打ち合わせの遅れにより終わらない。およそ10%分の時間。
→その10%分の時間で、Bフェーズを進めておく。
→リスクは、ユーザの打ち合わせにより、進めたBフェーズの内容に変更が発生する可能性があること。
 これを軽減するため、なるべく変更の可能性の低いものを厳選し、着手する必要がある。

自分の作業を行う場合も、
リーダに確認しないとこれ以上進まない、という場合に、
その日はもう何もしないのではなく、次の作業を先読みし、先行着手しておくと、無駄がなくてよいです。


以上が、2つの対応策の内容です。
メリット、デメリットを理解し、適切な策を適用できるようにしましょう。