みんなのプロジェクトマネジメント

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WBSは何のため?

システム開発のプロジェクトに携わっていると、
WBS(Work Breakdown Structure)」という言葉が時々出てきます。
これって、いったい何のために作るんでしょうか?

「作業がたくさん書いてあるやつ…わかったスケジュールのためだ!」
という間違いをしやすいです。
的外れというわけではないですが、作成する意図は別にあります。

WBSは、作業スコープを定義するために作成します。
システムを開発するために必要な作業や成果物をすべて洗い出し、ツリー構造にまとめるのです。

その手順としては、まず、システムに必要な機能を、「A機能」「B機能」などとして洗い出します。
「A機能」を作成するためには、「基本設計」「詳細設計」「プログラミング」「単体テスト」などの作業が必要です。
さらに、「基本設計」には「画面レイアウト仕様書」「帳票レイアウト仕様書」といった成果物が含まれます。
このように上位から下位に分解(ブレークダウン)していったときの、最下位レベルの構成要素を、「ワークパッケージ」と呼びます。
※どこをワークパッケージとするかは難しいですが、「実施する基本単位(≒フェーズ)」や「成果物の種類」などととらえるといいようです。

作成したWBSをもとに、ワークパッケージ「画面レイアウト仕様書」をやるべき作業に分解すると、
「A画面作成」「B画面作成」というように分解できます。
ワークパッケージを作成するための全作業一覧を、「アクティビティリスト」と呼び、
作業のことを「アクティビティ」と呼びます。

厳密にWBSというと、ワークパッケージまでのことを言うのですが、
実務では、アクティビティまでブレークダウンして、WBSとして作成することも多いです。
このフェーズでは、作業の漏れが無いように、やるべき作業を定義することが最重要です。

WBSまたはアクティビティリストを作成したあと、
各作業に対してどれくらいの時間がかかるのかを見積もり、
やるべき作業と作業時間を紐づけたものが「スケジュール」となるのです。
開発メンバから見ると、作業をさらに人ごとに割り当てたものが、よく見る「スケジュール」になります。
(これは、「プロジェクト・タイム・マネジメント」の内容となります。)

関連はあるが目的が違う、「WBS」と「スケジュール」。
その目的を理解しましょう。